一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

「陛下がとても嬉しそうでしたね。」
暗い廊下を共に歩きながら、寧々が嬉しそうに李生に言って来る。

「そうだな…。いつまでも、あの方の幸せが続いてくれる事を祈って止まない。」

「私も密かに応援しております。鈴蘭姐様もずっと寂しそうにしてましたし、2人とてもお似合いですもの。絶対一緒になって欲しいです。」
目を輝かせて寧々が言う。

「そう簡単にいくものでも無い…。
正妃にとなればそれ相応の身分と教養が必要になってくる。それに…側室にとなれば、きっと陛下は納得しない…。」
今まで歴代の流れを見ても、それは簡単な道のりでは無い事は分かっている。

「ただ…身分制度の撤廃。陛下ならやり遂げると夢を見てしまいます。私も密かに願っています。」

「そうなんですか!?
李生様はてっきり反対なのだと思っていたので嬉しいです。」
寧々が飛び上がるが如く喜び、握手を求めてくる。

「絶対に、お2人の味方でいてくださいね。」

仕方なく握手をする李生だか、手をブンブンと痛いほど振られて、

「分かったから。
とりあえず今は夕飯の準備が先だ。はしゃいでないで早く厨房に行って来てくれ。私はいろいろ忙しいのだ。」
その手を振り払って、李生は他の仕事へと暗く長い廊下を足早に歩き出す。

「待って下さい。この廊下薄気味悪くて…1人にしないで…。」
寧々は急に怖くなり慌てて李生の後追った。