「陛下、ただ今戻りました。」
扉の向こうで李生の声を聞き、堪らず駆け寄り自ら扉を開ける。
「どうだった!?」
知りたいのは鈴蘭の事ばかり…。
「もちろん連れて来ましたよ。貴方の命令は絶対ですから、寧々も一緒です。」
「そうか、ありがとう。で、どこに居るのだ?」
「後宮の華宮殿に一先ず休んで頂いています。あそこは今、誰も暮らしておりませんので。」
さすが李生、側室との接触が無いよう配慮した場所を選んでいた。
後宮は大きく5邸の宮殿があり、外廊下で繋がっている。皇帝が住む邸宅、皇宮殿は華宮殿の側に建つ。
華宮殿は正妃が住う邸宅になる為、今は誰も住んでいない。
皇宮殿の更に奥には、上皇と上皇后が住む奥宮殿があるが、警備が厳しく限られた者しか入れない。
3人の側室が住む邸は手前の咲宮殿の為、まず鉢合わせする事はないだろ。
他には外部からの客や、会議や祭事を行う清宮殿がある。
通常、華宮殿まで人を通すにはかなりの審査が必要だから、
「ところで、どうやって入邸出来たのだ?」
さすがの晴明も驚きを隠せない。
正式に許可を得るには通常1か月前ほど時間が必要な筈だ。
「今回は急な事だった為、陛下の特令を使わせて頂きました。」
「どのような…?」
皇帝のみが許される特令があるなんて、本人さえも知らもなかった。
「陛下の夜伽の為だと…。
今回はこの方法しかなく致し方ないのです。
その為、鈴蘭様は部屋から極力出れません。移動するには必ず護衛が付きますし、その分安全は確保出来ています。」
「その事…決して彼女には知られるな。」
晴明にとって鈴蘭は触れる事さえ躊躇してしまうほど、大切で大事な人なのだから…。
夜伽だなんて言葉は彼女に対して侮辱であり、そのような形でしか招く事が出来ない自分自身に対しても、許せない気持ちになる。
「御意に。」
臣下の礼をとりながら、李生だって晴明の気持ちは痛いほど分かる為、申し訳なさで首を垂れる。
「鈴蘭の所へ顔を出して来る。」
それでも晴明は会いたい気持ちは抑えきれず、そのまま華宮殿へと足早に歩き出す。
扉の向こうで李生の声を聞き、堪らず駆け寄り自ら扉を開ける。
「どうだった!?」
知りたいのは鈴蘭の事ばかり…。
「もちろん連れて来ましたよ。貴方の命令は絶対ですから、寧々も一緒です。」
「そうか、ありがとう。で、どこに居るのだ?」
「後宮の華宮殿に一先ず休んで頂いています。あそこは今、誰も暮らしておりませんので。」
さすが李生、側室との接触が無いよう配慮した場所を選んでいた。
後宮は大きく5邸の宮殿があり、外廊下で繋がっている。皇帝が住む邸宅、皇宮殿は華宮殿の側に建つ。
華宮殿は正妃が住う邸宅になる為、今は誰も住んでいない。
皇宮殿の更に奥には、上皇と上皇后が住む奥宮殿があるが、警備が厳しく限られた者しか入れない。
3人の側室が住む邸は手前の咲宮殿の為、まず鉢合わせする事はないだろ。
他には外部からの客や、会議や祭事を行う清宮殿がある。
通常、華宮殿まで人を通すにはかなりの審査が必要だから、
「ところで、どうやって入邸出来たのだ?」
さすがの晴明も驚きを隠せない。
正式に許可を得るには通常1か月前ほど時間が必要な筈だ。
「今回は急な事だった為、陛下の特令を使わせて頂きました。」
「どのような…?」
皇帝のみが許される特令があるなんて、本人さえも知らもなかった。
「陛下の夜伽の為だと…。
今回はこの方法しかなく致し方ないのです。
その為、鈴蘭様は部屋から極力出れません。移動するには必ず護衛が付きますし、その分安全は確保出来ています。」
「その事…決して彼女には知られるな。」
晴明にとって鈴蘭は触れる事さえ躊躇してしまうほど、大切で大事な人なのだから…。
夜伽だなんて言葉は彼女に対して侮辱であり、そのような形でしか招く事が出来ない自分自身に対しても、許せない気持ちになる。
「御意に。」
臣下の礼をとりながら、李生だって晴明の気持ちは痛いほど分かる為、申し訳なさで首を垂れる。
「鈴蘭の所へ顔を出して来る。」
それでも晴明は会いたい気持ちは抑えきれず、そのまま華宮殿へと足早に歩き出す。



