やっと帰路に着いたのは8時過ぎ、李生と共に馬車に乗り目を閉じ心地良い揺れに身を任せ揺られていた。
「腹が減ったな。」
「だから、後宮に寄って夕飯を食べたらと申したではありませんか。」
一緒に夕飯を食べそこねた李生は、少しの恨みを持って楯突く。宮殿を抜ければ友に戻り少しばかり言葉が砕けるのが常だ。
「お前だけ食べに行けばよかったであろう。何も一緒に帰らなくても、好きに宮殿を闊歩すれば良い。」
俺も気を許して話し出す。
「主人が不在中に私が1人、宮に残るのは可笑しいでしょうが。今朝も上皇后に呼び出されて、愚痴を聞く羽目になったのです。少しは私の心労を察して下さい。」
ここ数日宮殿には帰って居ない。そろそろ小言が来る頃だろうと思っていたが、李生が食い止めてくれていたのかと苦笑う。
「持つべき者は竹馬の友達だな。良く食い止めた褒美を使わそう。」
冗談半分でそう戯れる。
「子供の頃は良くそう言ってごっこ遊びをしましたが、あの頃は悪徳陛下を演じてましたね。今は誰もが認める良き皇帝になりました。」
ハハハハハ…と2人で笑う。
「まさか俺が皇帝になるとはな…。」
そう呟やいて、車窓の外に目を向ける。
夜も更けて街並みは夜の色に変わる。
夜の街である繁華街は赤い提灯でそこだけ明るく浮かび上がっている。
街外れの住宅街からも、通り行く家々から夕飯の良い匂いが漂い、灯篭にはろうそくの火が焚べらてとても綺麗だ。
ここは平和だ。
元通りまでとは行かないまでも、三年かけてなんとかここまでに回復した。
俺も少しは国の為に業を成したと思いたい。
がむしゃらに働き強き皇帝であり続けた。3年間の苦労がやっと形となって目に見えるようになって来たばかりだ…。
まだまだ本当の平和には物足りぬ…
そんな事を思いながら、晴明は馬車に揺れていた。
「腹が減ったな。」
「だから、後宮に寄って夕飯を食べたらと申したではありませんか。」
一緒に夕飯を食べそこねた李生は、少しの恨みを持って楯突く。宮殿を抜ければ友に戻り少しばかり言葉が砕けるのが常だ。
「お前だけ食べに行けばよかったであろう。何も一緒に帰らなくても、好きに宮殿を闊歩すれば良い。」
俺も気を許して話し出す。
「主人が不在中に私が1人、宮に残るのは可笑しいでしょうが。今朝も上皇后に呼び出されて、愚痴を聞く羽目になったのです。少しは私の心労を察して下さい。」
ここ数日宮殿には帰って居ない。そろそろ小言が来る頃だろうと思っていたが、李生が食い止めてくれていたのかと苦笑う。
「持つべき者は竹馬の友達だな。良く食い止めた褒美を使わそう。」
冗談半分でそう戯れる。
「子供の頃は良くそう言ってごっこ遊びをしましたが、あの頃は悪徳陛下を演じてましたね。今は誰もが認める良き皇帝になりました。」
ハハハハハ…と2人で笑う。
「まさか俺が皇帝になるとはな…。」
そう呟やいて、車窓の外に目を向ける。
夜も更けて街並みは夜の色に変わる。
夜の街である繁華街は赤い提灯でそこだけ明るく浮かび上がっている。
街外れの住宅街からも、通り行く家々から夕飯の良い匂いが漂い、灯篭にはろうそくの火が焚べらてとても綺麗だ。
ここは平和だ。
元通りまでとは行かないまでも、三年かけてなんとかここまでに回復した。
俺も少しは国の為に業を成したと思いたい。
がむしゃらに働き強き皇帝であり続けた。3年間の苦労がやっと形となって目に見えるようになって来たばかりだ…。
まだまだ本当の平和には物足りぬ…
そんな事を思いながら、晴明は馬車に揺れていた。



