一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

(晴明side)

至急の案件は何とか先に進める事が出来た。 

その後は滞っていた書類の決算処理に追われる。
「はぁー早く家に帰りたい。」
決算表に捺印をしながらつい、ため息を落とす。

「陛下、本日もご公務お疲れ様でございます。あと少し至急の書類が終わりましたら、鈴蘭殿の元へ帰ることが叶いますので、もう少し頑張ってくださいませ。」

李生からここぞとばかりに鈴蘭の名を告げられて、俺はいささか罰が悪い。

「鈴蘭殿は楽しい1日を過ごしただろうか。今宵も一緒に食事が出来ればと願っていたが…叶いそうに無いな。」

ふと、束の間手を止め彼女を思う。
それだけで、フッと身体の力が抜け少しだけ疲弊した気持ちが浮上する。

「しかし、別邸にいらっしゃる限り、いつでもお顔を拝見出来ますよ。」
李生の言葉は身に染みる。

やる気を取り戻した俺は、なんとか早く帰りたいと仕事に精を出す。