その途端、少し落ち着いていた心臓がまた、思い出したかのようにドキンと音を立てて動き出す。
「あ、ありがとうございます。」
鈴蘭が戸惑いながらも、まるで小鳥の囀りのような声で礼を述べてくれるから、俺の心が疼きまくる。
喋り掛けるのは御法度だと頭では分かっているのだが、自らの声で伝えたいと強く思う。
もしもこれで代わってくれた髪結師がクビになるような事になれば、うちで雇おうと頭の片隅で思いながら、ついに話しかける。
それなのに…
彼女ときたら自分に向けられた刺客の事よりも、他人である髪結師のクビが飛ぶ事の方を心配しくれる。
彼女のそんな優しさに触れ、俺の心はいとも簡単に持って行かれた。
護る事を断られ唖然としている間に、彼女は控え室を出て舞台へと足を進めてしまう。
俺は慌てて先回りし反対側の舞台袖に身を潜ませる。
こんな所で彼女を傷付けようとする、不審な人物を舞台裏から睨みつける。
来るなら来い!一撃で仕留めてやる。
そう、心で叫ぶ。
彼女の側には寧々が控えている。
自分は誰よりも早く刺客の動きを察知して、動き出せばいいと身を構える。
音楽が奏始め、瞬い舞台の中へと彼女が消えていく。一抹の不安を覚えながら、目を凝らし不審者の姿を目で追い続ける。
鈴蘭が、愛してやまないその美しく儚い声で唄い出す。
1年振りに聞く彼女の唄声は、少し以前より大人びてそれでいて伸びやかで心地良く、つい気持ちが引き込まれそうになる。
しかし、刺客からは決して目を離さない。
「あ、ありがとうございます。」
鈴蘭が戸惑いながらも、まるで小鳥の囀りのような声で礼を述べてくれるから、俺の心が疼きまくる。
喋り掛けるのは御法度だと頭では分かっているのだが、自らの声で伝えたいと強く思う。
もしもこれで代わってくれた髪結師がクビになるような事になれば、うちで雇おうと頭の片隅で思いながら、ついに話しかける。
それなのに…
彼女ときたら自分に向けられた刺客の事よりも、他人である髪結師のクビが飛ぶ事の方を心配しくれる。
彼女のそんな優しさに触れ、俺の心はいとも簡単に持って行かれた。
護る事を断られ唖然としている間に、彼女は控え室を出て舞台へと足を進めてしまう。
俺は慌てて先回りし反対側の舞台袖に身を潜ませる。
こんな所で彼女を傷付けようとする、不審な人物を舞台裏から睨みつける。
来るなら来い!一撃で仕留めてやる。
そう、心で叫ぶ。
彼女の側には寧々が控えている。
自分は誰よりも早く刺客の動きを察知して、動き出せばいいと身を構える。
音楽が奏始め、瞬い舞台の中へと彼女が消えていく。一抹の不安を覚えながら、目を凝らし不審者の姿を目で追い続ける。
鈴蘭が、愛してやまないその美しく儚い声で唄い出す。
1年振りに聞く彼女の唄声は、少し以前より大人びてそれでいて伸びやかで心地良く、つい気持ちが引き込まれそうになる。
しかし、刺客からは決して目を離さない。



