一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

(晴明side)

目を瞬いて驚きを見せる香蘭に一抹の不安を感じるが、これまで触れたい気持ちを封じ込め、我慢に我慢を重ね耐え抜いたのだから、今宵はご褒美を貰うつもりでこの場所まで連れて来たのだ。

そこは宮殿の執務室に備え付けられた仮眠室。
この場所を知ってる者はごくわずか。李生がたとえ気付いたとしても、きっと朝まで隠し通してくれるだろう。

香蘭との大切な初夜に監視付きなんて真っ平御免だ。

彼女の可愛い声を聞く特権は、先にも後にも俺だけのものだ。伝統的な儀式だかなんだか知った事じゃない。

彼女に初めて会った瞬間、雷に打たれたような感覚を覚えた。まだ15歳のあどけない笑顔の踊り子に釘付けになった。あの頃は観ているだけで幸せだったし、それ以上望むつもりも無かったのに…。

今、こうして俺の腕の中、なんの躊躇いもなくしがみついてくれる彼女が、何よりに大切で愛おしい。

仮眠室まで辿り着きそっと寝台に下ろせば、
「重たくありませんでしたか?」
と、俺の心配ばかりをする。
「そなたが重かったら何も運べないぞ。」
俺は幸せの中にいる。

全ての災いから救い出し、2人で笑っていられる奇跡を感謝したいくらいだ。

先程の口付けの余韻が、既に思考の半分以上を支配する。この小さく可愛らしい唇に貪り付きたい。
本能のまま何もかも奪ってしまいたい。

だけど…怖がらせたくない。理性と本能の狭間でいつも攻めぎ合う。

伺いながらそっと寝台の上に組み敷くと、無垢で穢れを知らない目で、不安そうな顔を向けてくる。

「出来るだけ痛い思いをさせたくない。力を抜いて俺に全て委ねてくれ。」
こくんと小さく頷く彼女の、付きたての餅のように柔らかなその頬にそっと触れれば、もう理性なんて吹き飛んでしまう。

啄むようにその小さな唇を喰む。段々と乱れて行く呼吸に興奮を覚え、彼女の身体を暴いていく。

絹の薄い生地から透ける素肌が艶かしくて、そっとその柔らかな部分に手を延ばす。ビクンと分かりやすく跳ねる身体を落ち付かせるように優しく撫ぜる。

「脱がすぞ。」
全てに了解を得るように、1つひとつ丁寧に脱がしていく。真っ白な肌が暗がりに浮かび上がる。

「綺麗だ…。」
ため息と共に思わず口に出す。

実は何を隠そう、俺にとっても今日は初めての経験だ。
女子に興味が無かった訳ではないが、変に潔癖症で他人に触れられのが苦手な俺は、彼女以外の女子を抱きたいと思った事が無かった。

無垢で穢れを知らない彼女の綺麗な肌に傷一つ付けてはいけないと、力加減を見誤らないようそっと触れる。

「…あっ…。」
意図なく漏れ出てしまう声に、恥ずかしいのか手で声を押し殺そうとしている。

「大丈夫、声を聴かせてくれ。」
安心させるようにそう耳元に囁き手の甲に口付けをする。従順な彼女はそれに素直に従ってくれる。

「香蘭、愛している。そなたの全てを愛したい。」
言い聞かすように何度も言葉を紡ぐ。

そしてやっと1つになった時、
「晴明、様…愛しています…。」
彼女の涙と共に聞く。

喜びと幸せといろいろな気持ちが湧き上がり、言葉で言い表せないほど心が震えた。