一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

「いやあ、良かった。これまで全てストレート勝ちですね。
5分以内にかたが着けば、まず体力の温存が出来ますから、今のところ従来通りの陛下の戦い方です。」
3試合目の試合も圧勝で終わり、李生がホッと息を吐く。

「良かったです。それにしても…晴明様はお強いのですね。」
初めて試合を観戦する香蘭にとって何が技ありで、何が一本なのか、勝ち負けの合否も分からないけれど、誰よりも剣捌きが早いのは良く分かる。

どの試合もまるで舞を舞っているかのように優雅な動きで、いつの間にか勝っているのだ。

「陛下の剣の立ち回りは独特で、舞を舞っているかのように滑らかです。相手はその優雅さに圧倒されいつの間にか負けてしまうのです。柔軟性に富んでいないと出来ない立ち回りで、真似をしようとしてもまず無理でしょう…」

李生の自慢げな解説はしばらく続き、香蘭にとってはちんぷんかんぷんだったけど…凄いと言う事だけは良く分かった。

「お昼休憩になりますから、昼食後にあんこ餅を食べて頂きましょう。姐様はせっかくですから陛下と共に昼食をお召し上がり下さい。そろそろこちらに戻って来られると思いますから。」
寧々もどこか嬉しそうにそう言って、李生と2人控え室を出て行ってしまった。

しばらくすると、護衛姿の晴明が控え室に戻って来る。

「良かった…香蘭がまだ居てくれて。」
嬉しそうに笑う晴明と2人軽めの昼食を食べ、昨夜寧々と共に作ったあんこ餅も食べてもらう事が出来た。

「上手いな。こんなに沢山大変だっただろう。」
香蘭のあんこ餅を頬張りながら、晴明はご満悦のようだ。

「晴明様はきっとこちらが1番好きだと寧々ちゃんから聞いたので、沢山作り過ぎたので後は周りの方にもお配り頂けたらと思います。」
香蘭も美味しそうに食べる晴明に安堵して、作ってきた甲斐があったと嬉しくなった。

「李生様から寝不足気味だと伺いました。
少しだけでも横になって休んで下さい。私は席を外しますから。」
食後のお茶を飲みながら香蘭が気を遣ってそう言うのに、

「余は膝枕を所望する。」
と、なぜか晴明から皇帝の口調で命令されて、逆らう事も出来ずに長椅子で膝枕をする事になる。

「このような場所で身体が休まりますか?」
足の長い晴明は、長椅子から足が出てしまう状態だ。

「この上なく満足だ。」
晴明はそう言って目を閉じてしまうから、それ以上は何も言えなくなって、少しでも眠れるようにと小さく子守唄を歌って見る。

「香蘭の子守唄付きとは…なんて贅沢な時なんだ。」
と、晴明は束の間幸せを噛み締めた。