一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

屋敷内を歩き過ぎたのか、夕方頃から少し足首が腫れ上がる。

「ハッカの葉で冷やしてみましょうか。
私達がもう少し気を付けるべきでした。姐様ごめんなさい。」
寧々ちゃんが慌て出し、バタバタと怪我の手当をしてくれる。

「そんなに見た目ほど痛くは無いから大丈夫よ。」
私がそう言って宥めるけれど、油淋さんまで過度に心配し始める。

「屋敷内を連れ回したと知られたら若様に怒られてしまいます。」
あれやこれやと施され、立ち上がる事も出来ないくらい包帯でぐるぐる巻きにされてしまう。

「いくらなんでも…ちょっとやり過ぎの気が…。」

「このぐらいしとかないと、また無理をして歩かせてしまいますから。」
油淋さんはそう言って笑う。

「もしもお手洗いやどこか行きたい時は、遠慮なくお声掛けくださいな。」

このお屋敷で働く人達は、明るくて気さくで良い人ばかりで過ごしやすい。きっと女中頭の油淋さんの人柄のおかげで、働きやすい環境なんだと思う。

見ず知らずの突然来た私なんかにも、みんな優しく受け入れてくれている雰囲気を感じて、どれほど安堵した事か…。