一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

「今宵も一緒に入ろ。」
以前行った洞窟の蒸し風呂以来の外出に、気が良くなった晴明が香蘭を誘う。

「えっ⁉︎私とですか?」
てっきり背中を流して差し上げるだけだと思い、ついて来た香蘭が驚く。

「そなたも一緒に入るから連れて来たのだ。二言は要らぬぞ。」
半ば強引な言い分をして、晴明はサッサと服を脱ぎ腰巻き一枚になってしまうから、慌てて目を背けながら香蘭は恥じらい戸惑い、なかなか動けないでいた。

「そんな事もあろうかと、寧々に沐浴着を持たせておいた。風呂で待っているから早く来てくれ。」
晴明はおかしそうに笑いながら、湯気の中に消えていった。

まだ少しお酒が残っているのかしら?と、香蘭は心配になる。
フーと呼吸を整えて、意を結したように寧々から沐浴着を受け取り着替え、晴明の後を追う。

湯煙で真っ白になった湯殿は丁度良いくらいの目隠しになって、いくらか香蘭を安心させた。
「失礼します…。」
と小さく言って、足からそっと湯船に入る。

チャポンと小さく音が響く。晴明様はどこだろうと、目を凝らして探すがよく見えない。少し不安になって、
「晴明様…?」
と、小さく呼んで見る。

「ここだ。」
思っていたより近くで声がして、エッ?と思って振り返る。すると、思わぬ近さで晴明の鍛えられた胸板が目に飛び込んでくるから、ドキンと胸が高鳴り、
「きゃっ!?」

と、後退した拍子に後ろに躓き尻餅をつきそうになる。寸でのところで晴明によって抱き止められる。