そして1週間後の休日、
香蘭の気持ちが落ち着くのを待って、晴明は秀英との再会の場を設ける。
その日は朝からソワソワと落ち着きなく漂う香蘭を見て、どうしてやれば良いものかと、晴明も同じようにソワソワと浮き足立っていた。
「そろそろ準備は出来ただろうか?」
晴明は玄関先で香蘭の支度が整うのを待つ。
「ちょっと見に行ってきますね。昨夜も緊張でなかなか寝付けなかったようですので、あまり長居はせず連れ帰って下さいませ。」
寧々の母である油淋が、まるで自分の子のように香蘭の事を心配している。
彼女の人柄がそうさせるのだろうか、香蘭の周りは過保護が多いなと晴明は苦笑いする。かく言う自分も昨夜から、彼女のソワソワが移り、何度となく彼女の様子が気にかかるのだ。
「すいません…お待たせしました。」
パタパタと小走りでやって来た香蘭は少し息を切らしている。
「大丈夫だ、そんなに急ぐと怪我をする。」
そう言って晴明は香蘭の背を撫ぜ落ち着かせる。
「この着物で大丈夫でしょうか?少し派手ではありませんか?お義兄様の目に嫌な感じに映りはしないかと心配です。」
あまり着慣れない紅色の着物を身に付けた香蘭は、先程から気になって仕方がない。こんな豪華な衣装では見窄らしい自分が浮いてしまっているのではないかと心配なのだ。
「そなたは何だって似合うが、その紅色も悪くない。白い肌がいっそう引き立って綺麗だ。」
晴明はひと目も気にせず香蘭を褒め称える。
それには香蘭もポッと顔を赤らめて、
「…そこまでは…。」
と言葉を無くす。
「さあさあ、早く馬車に乗って下さいませ。お時間は刻一刻と過ぎて行くのですよ。」
いつまで経っても初々しい2人を、若干呆れ顔で追い立てるのは寧々だ。
「まったく…人前でイチャイチャするのはやめて下さい。皇帝陛下ともあろう人が…。」
寧々が独り言のようにそう呟く。
「俺は率直に意見を述べただけだ。」
珍しく晴明が寧々に意見する。
「陛下、当初の計画ではあなたは先に出る予定ではなかったのですか?
一緒に行動しては姐様が目立ってしまいます。あくまでも内密に動かなければ、どこに敵の密偵が潜んでいるか分からないのですから。」
「分かっている。だから俺は護衛の格好をして待っていたのだ。俺には香蘭を1人で行かせるという選択枠は無い。」
敵は香蘭が晴明の婚約者だと知っている。その為一緒にいるところを外で見せてはならないのだ。
それに香蘭は流行病で亡くなったと、念には念を入れて嘘の噂を流すぐらい守りを固めのだから、今回一緒に行動するのは難しいと分かっているにも関わらずこの有様だ。
だから自分の我儘で計画を変えてしまう皇帝陛下に、寧々が冷たく当たるのは仕方がない。
「それならそうと、なぜ計画段階で仰ってくださらないのですか?」
寧々は小声で晴明に楯突く。
「人を騙すのはまず味方からという事だ。」
そう言ってのける晴明は警帽を深くかぶり颯爽と馬に跨り、香蘭の乗る馬車の横にぴたりと並ぶ。
「もうっ…好きにして下さい。」
愚痴る寧々は馬車の中、香蘭の横に座り移動中ずっと窓の外の晴明をひたすら睨んでいた。
香蘭の気持ちが落ち着くのを待って、晴明は秀英との再会の場を設ける。
その日は朝からソワソワと落ち着きなく漂う香蘭を見て、どうしてやれば良いものかと、晴明も同じようにソワソワと浮き足立っていた。
「そろそろ準備は出来ただろうか?」
晴明は玄関先で香蘭の支度が整うのを待つ。
「ちょっと見に行ってきますね。昨夜も緊張でなかなか寝付けなかったようですので、あまり長居はせず連れ帰って下さいませ。」
寧々の母である油淋が、まるで自分の子のように香蘭の事を心配している。
彼女の人柄がそうさせるのだろうか、香蘭の周りは過保護が多いなと晴明は苦笑いする。かく言う自分も昨夜から、彼女のソワソワが移り、何度となく彼女の様子が気にかかるのだ。
「すいません…お待たせしました。」
パタパタと小走りでやって来た香蘭は少し息を切らしている。
「大丈夫だ、そんなに急ぐと怪我をする。」
そう言って晴明は香蘭の背を撫ぜ落ち着かせる。
「この着物で大丈夫でしょうか?少し派手ではありませんか?お義兄様の目に嫌な感じに映りはしないかと心配です。」
あまり着慣れない紅色の着物を身に付けた香蘭は、先程から気になって仕方がない。こんな豪華な衣装では見窄らしい自分が浮いてしまっているのではないかと心配なのだ。
「そなたは何だって似合うが、その紅色も悪くない。白い肌がいっそう引き立って綺麗だ。」
晴明はひと目も気にせず香蘭を褒め称える。
それには香蘭もポッと顔を赤らめて、
「…そこまでは…。」
と言葉を無くす。
「さあさあ、早く馬車に乗って下さいませ。お時間は刻一刻と過ぎて行くのですよ。」
いつまで経っても初々しい2人を、若干呆れ顔で追い立てるのは寧々だ。
「まったく…人前でイチャイチャするのはやめて下さい。皇帝陛下ともあろう人が…。」
寧々が独り言のようにそう呟く。
「俺は率直に意見を述べただけだ。」
珍しく晴明が寧々に意見する。
「陛下、当初の計画ではあなたは先に出る予定ではなかったのですか?
一緒に行動しては姐様が目立ってしまいます。あくまでも内密に動かなければ、どこに敵の密偵が潜んでいるか分からないのですから。」
「分かっている。だから俺は護衛の格好をして待っていたのだ。俺には香蘭を1人で行かせるという選択枠は無い。」
敵は香蘭が晴明の婚約者だと知っている。その為一緒にいるところを外で見せてはならないのだ。
それに香蘭は流行病で亡くなったと、念には念を入れて嘘の噂を流すぐらい守りを固めのだから、今回一緒に行動するのは難しいと分かっているにも関わらずこの有様だ。
だから自分の我儘で計画を変えてしまう皇帝陛下に、寧々が冷たく当たるのは仕方がない。
「それならそうと、なぜ計画段階で仰ってくださらないのですか?」
寧々は小声で晴明に楯突く。
「人を騙すのはまず味方からという事だ。」
そう言ってのける晴明は警帽を深くかぶり颯爽と馬に跨り、香蘭の乗る馬車の横にぴたりと並ぶ。
「もうっ…好きにして下さい。」
愚痴る寧々は馬車の中、香蘭の横に座り移動中ずっと窓の外の晴明をひたすら睨んでいた。



