そう告げてしばらく言葉を止める。
どう捉えどう思っているのだろうか…。顔色を伺い気持ちを慮る。
「…私はただの踊り子です。今更出世の事実を知ったところ何も変わりません。
だけど…もし晴明様の重荷になるなら…切り捨てて下さい。」
香蘭が大きな瞳に涙を溜めて真っ直ぐ見据えてくる。
「何を言うか…!そなたを手離す訳がない。」
バッと引き寄せ強く抱きしめる。
「何があったとしても俺の気持ちは変わらない。香蘭を愛している。そなた以外に欲しいものなど何も無い。」
言葉に出来ない思いが溢れ出て急速に唇を奪う。
この柔らかな温もりが俺の全てだと、我を忘れて何度も何度も唇を重ねる。
気付いた時には長椅子に香蘭を横倒してしまっていた。
息を乱しながらも懸命に応えようとする姿が可愛くて、愛しくて…無意識にそれ以上を求めようとしてしまう。
気付けば柔らかな谷間に指を滑り込ませてしまい、華奢な身体がビクッと揺れて、ハッと我に帰る。
組み敷いている状態で見つめ合い
「悪い…怖がらせたか…?」
と、慌てて抱き起こす。
いつになく動悸が高鳴っている。
この熱をどう収めるべきか… 自分自身も分からなくて、頭を冷やさなければとガバッと彼女の側を離れようとする。
それなのに…手をぎゅっと握られて…
「決して…!怖くは…無い、ので…。」
香蘭が顔を赤らめ、それでも必死に止めてくる。
「香蘭、今は…そなたを傷付けそうだ。少し頭を冷やさなくては…。」
だけど、香蘭の手を振り払う事も出来ず…気持ちを整えるように目を背ける。
2人お互い高揚した気持ちを治めるように深呼吸する。
そして少し頭が冷静さを取り戻した頃、握りしめられた彼女の手の冷たさに気付く。
俺はこの彼女の座る足元に跪きその両手を握る。
「指先が冷たい、怖がらせてしまった証拠だ。そなたの事は何よりも大切に大事にしたいのだ。気持ちが急いて我を忘れてしまって申し訳なかった。」
懺悔の気持ちを込めて頭を下げる。
「辞めてください。皇帝陛下とあろう方が…ただの小娘に頭を下げてはいけません。」
「皇帝である前にそなたの前ではただの男だと何度も言っている。そなたに嫌われたら生きてはいけない。何度だって許しを乞う。」
「そんな事しなくても大丈夫です。晴明様の事を嫌いになんてならないですから。」
香蘭は握られた手をぎゅっと握りしめる。



