一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

「むしろ俺に移して早く元気になって欲しいくらいだ。」 

「何を言って…晴明様のお身体はもはや晴明様だけのものでは無いのです。もっとご自身で大事にして下さい。」
香蘭はそう真剣な目をして見つめてくる。

「それは香蘭にも言える事だ。」
何よりも周りを気遣い、自分を後回しにしてしまうのだから。

「喉が渇いたであろう。今、温かい飲み物を用意させよう。それに…着替えに、食べやすい食べ物も必要だな。」
離れ難い気持ちはあるが、何よりも香蘭に水分を取らせなければと重い腰を上げ、甲斐甲斐しく世話を焼く。

明け方様子を見に来た寧々と交代し、渋々ながら公務へと出かける。
そろそろ虎鉄も戻って来る頃だろうし、新たな情報が手に入る筈だ。

香蘭の命を脅かす憎き敵を炙り出し、早く心身共に平安な日々を取り戻したい。

ただ…香蘭と俺だけが知っているであろうペンダントの事を敵が知っているという事実に、嫌な予感が頭を掠める。

そして…追手が持っていた短剣に、細工された宝石に浮かび上がった鷹の模様…。止まり木に羽を休める姿が彫り込まれていた。

嫌な予感に拍車がかかり出来れば目を背けたいくらいだ。

ザワザワと胸騒ぎがする。だがしかし、何があっても彼女を手放す事はない。それだけは確かだ。