一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

「香蘭の容態は?」
別邸に帰って来るなり挨拶もそこそこに、晴明は香蘭の部屋へと急ぐ。

「お帰りなさいませ。お昼前から少しお元気がない様に見られ、昼食も残されたので心配をしていましたら、うずくまるように倒れられて…。」
寧々が小走りに着いていきながら晴明の背中に話しかける。

「怪我はなかったのか?」

「咄嗟に支えましたから大丈夫です。」

「医者は何て?」

「疲労と流行りの風邪だろうと言う事です。お薬を先程飲んで頂き、今は寝ていらっしゃいます。」

「そうか…。」
部屋に辿り着き、晴明は香蘭を起こさぬようにと、息を整えそっと扉を開ける。

そこには寝台にぐったり横たわる香蘭が目に入る。

駆け寄り額に手をのせ熱を計ると、その熱さに驚く。
顔や身体全体を高揚せて額には汗が滲み出ているし、はぁはぁと熱い息を吐いている。

「大丈夫なのか!?かなり苦しそうに見えるが…。」
思っていた以上に苦しそうで心が痛む。

「何か…熱を下げる手はないのか?」
焦りにも似た不安が押し寄せて、藁をも掴む気持ちになる。

「体を温めて汗をかく事で熱を追い出せると、お医者様からの指示ですので…お布団を何枚か重ねたのですが…。」
よく見ると布団が1枚2枚…5枚も重なってかけられている。
「これでは布団の重さで逆に重荷になっていないか?」
さすがに潰されてしまいそうだと、慌てて晴明自ら布団を2枚剥ぐ。

「後は俺が看病するから寧々は下がって休んでくれ。」
晴明はガバッと着ている豪華な衣装を人目も憚らず脱いでいく。

寧々は慌てて晴明の部屋着を取りに走りバタバタと着替えを揃え、夕食を香蘭の部屋に届けた。

「陛下は人を振り回す天才だわ…。」
全ての支度を終えて寧々は1人愚痴る。