一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

そして晴明は少し落ち着きを取り戻した香蘭の手を引き、中央の湯が湧き出ている場所へと導く。

「不思議ですね…地中がこれほどまでも温かいなんて。毎年この地は訪れていましたが、こんな場所があるなんて全く知りませんでした。」

「それは勿体無い。
この国にはもっと綺麗な場所や観光名所が沢山あるのに、香蘭は全く知らずにいたのか。」

全国各地へと旅をしているはずなのに、外の世界を何も知らずに生きてきた香蘭の今までの人生を嘆き悲しむ。

「これからは、俺と一緒にいろいろな所に行こう。その場所の美味しい物に舌鼓を打つのも良いな。
…その為にも早く全てを解決させなければ。」

晴明は新たな思いを胸に刻む。

しばらく2人は蒸し風呂を楽しみ、美味しいものを沢山食べて、初めて尽くしの贅沢な時間を楽しんだ。

晴明にとってもこんな平和な日が来るなんて、3年前には思う事も叶わなかった。

戦場を駆け巡り敵や味方も分からぬ世界で、ただ生き残る事だけを思い血と汗にまみれた日々…
多くの友人が家臣が命を落とし、自分自身の明日さえ分からない世界にいた。

その頃の自分に教えてやりたい。

そして、どうかこの先の未来も平和であるようにと願ってやまない。そのためにも近隣諸国の平安は引き離せない大事な事だ。

香蘭との幸せを築く為には後宮の解体も成し遂げなけばならない。

やるべき課題は山のようにある。
その日は香蘭を胸に抱き、幸せを噛み締め安眠した。