『産まなかったってどういうことだ…?障害がある娘は要らなかったってことか…?おいアキナ、おまえ自分が何を言っているか分かっているのか…!?』
『善人のふりしないでよ!!あなただって本当は思ってるくせに…!!あたしばかりに子育てを押し付けてるのは本当じゃない!!』
『っ、…ちがう、俺はただ…』
『夜中にコソコソ家を出ていることも知ってるのよ!?…他に女でもいるんでしょ。こんなうるさい妻と障害持ちの娘だものね、そりゃあ嫌にもなるわよねえ!?』
『違うって言ってるだろ…!!』
聞こえない夫婦喧嘩が聞こえる。
お父さんが家を空けることが増えたのは、そのあたりからだ。
お母さんは周りへの顔を立てるためにわたしの近くに居てくれたけれど、たまに強く叩かれたり突っぱねられたりした。



