「カシラ、教育はきちんとしたほうがよろしいかと」
「俺の教育が間違ってるって言いたいわけ?これくらいじゃないとここではやっていけないだろ」
使えない使用人。
意味もない使用人。
むしろ通行の邪魔とまで思うが普通だ。
カラダを使わせるのはもう少し先のがいいでしょ、なんて俺は呑気に言っておいたけど。
もちろんそんなことさせる気なんか毛頭ない。
「調べたところ、この娘は戸籍登録がされていませんでした」
「…今までどうやって生きてたんだよ。聾学校だっけ?そこに通ってた形跡は確かなんだろ?」
「…おそらく、誰かが意図して偽造した身分を使っていたんでしょう」
母親の情報なら揃っている。
職場、生まれ、友人関係すべて。
唯一揃っていない情報といえば、父親のことだった。



