「…どうしても連れ込めなかったのが俺なんだよ」
「え?」
「そういや次は松林組との商談だったっけ?あそこのおっさん、バイだからキツいんだよなあ」
「あっ!待ってくださいカシラ…!」
俺たち雲雀会が占めている活動拠点は主に、最近になって動きが活発になっている中華街。
ここに潜伏している他組の連中を狩り、密輸や違法売買を勝手にさせないために圧力をかけ、ついでに管轄している風俗店などの見回り。
雲雀会に借金があるにも関わらず、俺たちの目を盗んで好き勝手やっている奴らもいる。
組織をトップに置き続けるためには、いろんな部分の取り締まりが必須になってくるのだ。
「ほんまに君は可愛い顔しとんなァ。ほれ、もっとこっち来たれや憂巳くん」
「それ以上俺に触ったら眼球えぐらせてもらうよ、松林の親父さん」
「はっはっはっ!相変わらず物騒で可愛い、魅力だらけの坊やっちゃで」
彼はキレイなものなら何だって好きらしい。
自分が望む幸福な最期は俺に踏みつけられて息を止められるように殺されること、とか言ってくるイカれた親父だ。
まったく殺す側にも選ぶ権利ってやつが欲しいよ。



