「ひええ…っ、どうにかしてくださいっス矢野さん…!!やべえっス、屋敷壊れるっスよ……!?」
「無理だ、あの戦闘狂を見てみろ。父親に殴られてもっとこの状況を楽しんでるだろ」
あんな顔、見たことない……。
どうして笑っているんだろう。
明らかに笑える空気感じゃないし、ゆーみ殴られちゃったんだよ…?
「これ、世間ではれっきとした虐待って言うんだけど大丈夫?おとーさん」
「抜かせガキ。これは俺流の教育だ。テメェにはそれくらいじゃねえと聞かねェだろ」
「これだからハゲは困るね。余裕ないのは頭皮だけにしろよ」
どうにもゆーみは今日、自分のお父さんとお話をしているみたいだったのだけれど…。
あのまま放っておいたらゆーみがケガしちゃう。
わたしは咄嗟に身を乗り出して、サングラスをかけた光輝くおじさんの間に入った。
息子に掴みかかろうとしていた手は、そっと離れる。



