「なに調子こいてんだクソガキ!!!!」
「黙れよハゲ」
「ハゲ関係ねェだろうが!!!俺の遺伝子持ってるおまえもいずれは同じ道辿るんだからな…!!」
襖がふっ飛んできた。
家が揺れたような気もするし、ゆーみが舎弟だと言っていた男たちはみんなしてガクガクと震えている。
この場所で数日を過ごしてきたわたしでさえ、これはとんでもないものだと分かってしまった。
言うなれば、史上最恐の親子喧嘩。
「いいや、あんたは俺くらいの歳にはすでにハゲてたから。それに母さんの家系はフサフサ、俺はそっちの血のほうが濃いんだよ」
「ハタチからハゲてるわけねェだろ!!どんだけ人生ハードモードだ…!!」
「ちがうちがう、あんたの場合はハーゲモード。さっさとくたばれよクソハゲ」
「殺すぞガキゴラァッッ!!」
つぎに吹き飛んできたのは、ゆーみ。
音はなくとも見ているだけで痛みがうつりそうなのに、殴られた本人は唇の端を引き上げてなんとも楽しそうだった。



