『ねえ、あたしたちどうしたらいいの?先生たちはああ言っていたけど、結局は普通学校には邪魔だから追い出されたってことでしょ』
『仕方ないだろう。聾学校に通わせたほうがいいとは、前々から言われていたんだ』
『普通の子と同じように生活させれば大丈夫って言ったのはあなたじゃない…!!』
『…頼むから大きな声を出さないでくれよ。俺に任せてくれればきっと大丈夫だ。それまで信じて欲しい』
お父さんとお母さんがまた喧嘩している。
聞こえていなくともわたしのことで困らせていることは知っていた。
お母さんもお父さんも頭を抱えて、今日も思い詰めた顔だ。
『なんにも音が聞こえないくせに音都(おと)なんて、ほんと笑えるわ』
『おいアキナ…!それだけは言うなと言っただろッ!!』
『じゃあどうしてよッッ!!どうしてあたしたちだけがこんな思いしなくちゃいけないの……っ』
────音都。
それがわたしの本当の名前だった。



