「ずっと探してたんだ。…ありがとう」
特殊な補聴器を取り付けた隣の女の子は「あっ!」と気がついたようだったから、俺は意味深な笑みをひとつ落としておく。
いーんだよ。
たまたますれ違った他人で。
きみたちはもう、こっちの人間じゃないんだから。
「ありがとうは、僕のセリフですけどね」
………まったく、おまえらしいよ。
俺は小さく笑いながらハンカチをポケットにしまう。
「…光、掴んだ?」
「……すっごいの掴んだかも」
「ならよかった。その先にはきっと、もっとまぶしいもので溢れてるだろうよ」
ヒラヒラ手を振って、俺は車に戻る。
今回の娘へのプレゼントはこれを渡しても喜ぶかもなあって、そんなこと思ったりして。
「はーっ。…無事に教育完了、かな」
まるでそれは、
悪夢さえ包み込んでしまう────光。



