「にしても、ニコって名前は決定なんスか?」
「うん。音なんかなくてもね、ニコニコ笑ってて欲しいから…ニコ」
「…オレ、カシラのそーいうとこ好きっス」
「キモ」
「………つらっっ!!」
ちょうどべっこう飴の3コ目を食べ終わったあと、パンパンと肩が払われる。
ずいぶん軽くなった髪。
「終わりっス!どうっスか!?」
「…ふつー」
「え!?わりと自信あったんスけど…!」
言葉が分かるようになりたい、なんて。
わたしらしくないことを思ったかもしれない。
みんながどうして笑っているのか。
なにを話して、そんなにも楽しそうなのか。
自分の障害を分かりきった気持ちでいたけれど、まだまだ知らないことがあったんだなあ…。
「やっぱ少しでかいね」
「…懐かしいですね。あなたがよく着ていたものです」
「…そーだっけ?」
そのあとはちょうどいいからと流れるままお風呂に案内されて、用意されていた新しい服を着て再び彼らのもとへ向かえば。
みんな心なしか優しい顔をしていた。



