「かっ、海人くん…!」
「……にげ、ろ……、」
「海人くん大丈夫…!?」
「いーからっ、ニコと逃げろ……!!」
やられちゃうよ、私たちなんか。
男の人のちからになんか敵うわけないんだから。
だから危ないことはダメなの。
こんなにも細い道、ひとりだったら絶対通らなかった。
「4Pとか最高じゃね?」
「ヤク入れてキメよーぜ。俺そっちの大人しいほうタイプだわ」
「ちょ、ちょっとやめて来ないで…!っ、ニコ…っ」
思わず一花の前に出る。
両手を広げて、守れもしないのに、形だけ。
変わっていないところはこんなところにもあったよ、憂巳。
変わったつもりだったけど、いつもあなたを思い出すところだって、なんにも変わってないの。
「明日から通学路変えよーね、ニコちゃん」
─────その音だけは、心に、まっすぐ。



