「いってェな」
「ちゃんと前みて歩けよガキども」
だれがぶつかったのかは、わからない。
私ではないことは確かで、目の前に柄の悪い男たちが通せんぼ。
「はあ!?あんたたちがわざとぶつかってきたんでしょ?」
「……ああ?なんだって?」
「そもそもっ、歩きタバコなんかしてる人間に言われたくないんですけど!!」
「おいおい、なんだよこの女」
………やばい。
一花はこういうところがある。
曲がったことが大嫌いで、大学でも陰湿ないじめを目にするとすぐに飛んでいく。
そこが彼女のいいところではあるけれど、今だけはダメ。
「……かいと、」
「…ああ」
もし私だけだったなら、海人は私のうでを掴んで逃げるを選択しただろう。
しかし3人となれば、たとえ相手が2人だったとしても1人が犠牲になる可能性が大きい。



