「────兄ちゃん。…あのさ、一生のお願い、あんだけど……さ」
パスポートどこにあったっけ。
すぐにチケット取って、ああそうだ。
向こうでホームステイとか探したほうがいいかな。
英語とか無理だけど、どこかの意識高いお嬢さんのおかげでちょっとの挨拶程度は覚えたし。
「あ。いつか俺の娘のハンカチ、ちゃんと返しなさいよー」
まあ、なんとかなるでしょ。
あとはこの頼れるお父さんにお願いして、通訳の1人くらい付けてもらえば。
『ゆーみ』
『ゆうみ』
呼び方、変わってたよね。
ちゃんと気づいてたよ俺。
『わたし』っていうぎこちない一人称も、いつの間にかハッキリ『私』に変わって。
だからいつかおまえが俺のこと、『憂巳』って呼ぶ頃には。
きっと、きっと世界はまた明るくなってるだろうからさ────ニコ。



