「カナダに行けば……ほんとに補聴器、作れんの?」
「…らしーね。型番とかはあるっぽいけど、幸いなことに娘さんの情報をしっかり揃えてたんだよ月島は。……父親として」
「でも人工内耳も意味ないって、こっちの医者にはずっと言われてたんだよ…?」
「海外ナメるなって。たしかに日本の医療は発展してるけど、……向こうには安楽死さえ認められる法律があんのよ?」
音、聞こえるようになるんだ。
それさえ取り付けられれば、あの子は音を。
やっと、やっとだ。
「俺もう、ニコの大学費用とか生活費とか出しちゃって……正直手持ち、あんまないんだよね…、」
「……へえ。そういや憂巳には頼れるお兄ちゃんがいたっけ?」
「………あの人にはじゅーぶん頼ってきたし…無理に決まってるだろ、」
「はは。でも兄貴ってのは、下から頼られるだけ意外と嬉しいもんだよ」



