甘い。
苦いけど、甘い。
つい抑えきれなくなってお腹を満たすためにペロッと舐めてみると、想像していたより美味しかった。
「お、い、し、い?」
聞かれて、こくんと、うなずく。
そこで伸びてきた手はわたしの頭をポンポンと叩いたはいいものの。
まるで跳ね返るように、隣でこんな反応をしていたとは。
「美味しいのはいーんだけど、髪についちゃってるわこれ」
「………洗っても取れないでしょうね、それは」
「ニコちゃんこれ切っちゃっていい?いちいち鬱陶しいし」
髪をさわさわ。
くすぐったさと安心に、聞こえないなかでもコクンコクンと首を動かされた。
「こーいうときはわりと器用なサブローかな」
「…ジローです。さすがに覚えてやってくれませんか」
「いいから呼んでこいって」
どうにも髪はここで切ってもらえるらしく。
飴がべっとりと付着してしまい、バサバサとかさばってはえらいことになっていると。



