「月島 音都ちゃん。…は、月島 有志の一人娘」
「…そう」
「で、どういうわけか雲雀会が預かっていたと。それはたぶんおまえがたまたまね、拾ったんだろうけど」
最初から知っていたんだ、この人は。
あのパーティーのあとで俺が天道さんに近づいたとき、ではなく。
ニコがどこかのカフェに海人と行った時点で、そこにいた彼はすでに。
「まあ俺が話すのはそれより前の話ね」
殺していない。
天鬼組は月島 有志を物理的には殺していないんだ。
すべての見解が180度変わった今日、ここさえひっくり返った。
「確かに月島は俺たちの組から資金を盗もうとした。そこを簡単に捕まえたのは本当だよ」
「…拷問でもしたの?」
「まー、ちょっとはね。だってなかなかクチ割らなかったからさ、仕方ないじゃない」
やはり極道だと思った。
魂胆を吐かせるためなら手段を選ばない。
それは俺たちの教科書のようなもので、言ってしまえば基礎だ。
この顔はぜったい、ハルヒや桜子さんには見せらんない顔なんだろーね。



