「っ!」
近づいてきただけじゃなく、肩が触れあって、わたしの顔を覗きこんできた。
「俺の顔、そんなに変?」
びっくりするほど綺麗だと思った。
彼が聞こえない音を発するたびに、潤いを保ちながらも自然な赤が色付けられる唇までもが。
ただ、この顔は、偽りだとも言い聞かせてくるような。
「矢野ー、ほんとにこれでいーの?ちょー暇」
「それはあなたが飽き性なだけでしょう」
「なんて?」
「…いえ」
何かが隠されている。
銀髪さんには、そう思わせられる絶対的な何かがあるんだ。
そして完成した初めての飴は────、
「ふつーに焦げてんじゃん。はい失敗」
「だから言ったではないですか。火が強すぎたんですよ」
「あんな地道な作業、弱火でなんかやってらんないって」
「それが大切なことだったんです。さすがにこれは食べられそうにありませんね」
「あーあ、悪いねニコ。なんか矢野のせいでミスっちゃったみ───、良かったね。気に入ったってさ」



