「なにするの」
と、睨んでみたってベッと舌を出してくる生意気ボーイ。
「……今日、ゆーみ兄の誕生日じゃん」
「…………」
「おまえほんとは分かってるくせに。いろいろ考えたくないから投げやりに勉強してんだろ」
「…………」
「ニコ!」
「っ!」
空気感がぶわっと変化して、わずかな緊張のなかで目を合わせる。
そうだよ、知ってるよ。
今日は誰かさんの誕生日。
何歳になったんだっけ。
私が18歳だから、6歳年上のあのひとは24歳。
「………ばーか」
「っ……、ぅ…っ、ぅ……」
ぐいっと乱暴すぎる動きで擦られた頬っぺた。
今、どこにいるんだろう。
なにをしているんだろう。
あなたのことはもちろん心配だけれど、今日あったことを話せないほうが苦しい。



