「でも、ゆーみおにいちゃんもおんなじよ!」
「…おなじ?どこが」
「ここにさくらがあるもの!わたしたちとおんなじ!うれしいっ」
「…………」
「ゆーみおにいちゃん……?」
じゃあいつか、俺もこんなあったかい家族を手にできるっての。
こんな刺青を綺麗だと言って、自分と同じで嬉しいって、たかが5年しか生きてないような子供が言ってくるんだ。
「こんなちっさなカラダのどこに…、あんな胃袋が入ってんの」
「わたしいっぱい食べるよ?ママとおんなじ!」
「…これからもいっぱい食べて、大きくなるんだよ」
「うんっ」
泣かないで、なかないで。
小さな両手が俺の頬をペタペタと触ってくる。
そういえば桜子さんは「この子の癖なの」って前に言ってたっけ…。
赤ちゃんのときから、こうして手を伸ばすことが。
そんな娘の姿をなによりも愛しそうに泣きそうな顔でいつも見つめているのは、父親であるあの人だった。
───そのとき、バスルームに一筋の光。



