そのあいだに頭や身体を洗って、湯船に浸かるだけにする。
こんなことしたってどーせ肩は見えるし、どうしようもないんだけどさ。
………この子、泣いちゃうのかな。
「…よし。いいよ開けて」
「はい!……あれ?ゆーみおにいちゃ
───、」
「こっち向いたらだめ」
「………Why?」
小さな背中が意識高めに問いかけてきた。
俺たちは今、バスタブのなかで同じ方向を向きながら座っている。
これが俺の精いっぱいだなんて、ほんと情けないよ。
自分で入れたあの日の決意は、覚悟は、ケジメは。
こうして無意味な今となって彷徨っているんだから。
「もうゲームはおわり!」
「ちょっ、こらハルヒっ!…………。」
「だってゆーみおにいちゃん、おふろに入るまでって言ったもの!」
くるっと向きなおされて、俺はもう諦めた。
怖がるなら怖がれ。
泣くなら泣けばいい。
それは自業自得だからねって、慰めてなんかやらないよ。



