「入ってねえな。興味もない」
「……は?」
「むしろ大嫌いだ」
「でもカシラになっちゃってさー。ほんとすごいよね、この人って」
スッとカラダが脱力して、殺気を出すことがなぜか難しくなったのは。
たぶんこの男には勝てないと本能が理解して、恐怖心を少しでも抱いてしまったからだ。
そして───尊敬のようなものまで。
「ふざけんなよ…、俺は……入れたよ。そうじゃなきゃこの世界で生きれないと思って…さ」
入れなくてもヤクザになれる道って、なんだよ。
そんな道があったのか。
こんな和柄があるから俺は、本当を見せられなくなったんだ。
たとえ見せたかった女の子ができたとしても、結局は怖くなるんだよ。
「おまえだけを見てくれる存在がいれば、それでいいんじゃねえのか」
なぜか妙に説得力があって、不思議なくらい心にストンとまっすぐ落ちてきた。



