「あー、うちでは吸わせてないんだけど。前いたとこのが付着してんのかもね。ごめんごめん」
「…貸し2な」
「うっそー」
一通り振りかけて満足したようで、トンっと固められていたカラダは雑にも解放された。
「うちはタバコ厳禁だ。刺青も掘ってんなら死ぬ気で隠せ」
「……………」
ヤクザがなに言ってんだよ。
タバコも刺青も、俺たちなら手にして当たり前のものだ。
味が合わなかったからタバコは俺も吸ってないけど、カシラでもある男が刺青を恐れているなんて笑える。
………そこまで強いってのに、意味わかんないだろ。
「なら…、俺のほうがヤクザに向いてるってことだね」
「ああ、そうかもな」
「あんただってケジメとして入ってるだろ、刺青くらい」
なんで隠しているんだよ。
真っ黒なスーツを着て、ネクタイもしっかり上で留めてまで。
あんたは肌が白いから刺青は余計に映えそうだ。



