「ずっと会ってみたかったよ。天鬼組のカシラのあんたに…!!」
こぶしをぐっと握って、飛びかかる。
当たる数ミリのところで受け止められたかと思えば。
「…陽太、頼んでおいた仕事はちゃんと片してんだろうな」
「ぐ…ッ!!」
「……やっぱりね。こうなるだろうから会わせたくなかったのよー」
倍の力で悠々と吹き飛ばされた。
「…ははっ。そうこなくっちゃ」
「おまえ先週、娘の誕生日だか何だかで会議すっぽかしただろ。貸し1だからな」
手がダメなら足だ。
手よりも足のほうが効果があることは知っているし、下半身を潰せさえすれば動物は大体が戦闘不能になる。
────ガシッ!!
ドンッ!!!!
けれど何をしたって一筋縄にはいかない攻撃は、自分にすべて返ってくる。
「く…ッ、はっ、……やっぱ強いや…、でも俺たちは何も素手だけが武器ってわけじゃない…だろっ!!」
「ッ…、」
忍び込ませていた小さなナイフで、その男の頬を浅くかすめた。
タラリと流れた血。
気にもしないで瞳孔を開き、冷徹かつ重い視線で俺を捉えてくる。



