「まずは打ち解けてやろうと思ってさ。女って大体は甘いものさえやってれば喜ぶじゃん。なかには痛めつけられることが好きなドMもいるけど」
「…べっこう飴なら作れますが」
「なにそれ?」
「砂糖と水だけで作る飴です」
「さすが42歳、思いつきが庶民的かつ昭和。せめてクレープとかは?」
「ここをどこだと思っていますか」
「ヤるか殺(や)られるかの男所帯?はは、我ながら面白いこと言っちゃったな。んー、じゃあそれ。そのべっこう飴?それでいーやもう」
砂糖、アルミホイル、つまようじ。
彼らはそれだけで何かを作るみたいだった。
………と、ちょいちょいと手招きしてくる銀髪さん。
【アメ、つくろ】
忘れず持っていた電子パッド。
この人の字は意外と読みやすくて、大きく書いてくれるから好きだ。
「……ぁぇ…?」
「そうそう、飴。あっまいの」
「……ぅ」
この人はどんな声をしているんだろう。
高いも、低いも、わからないのがちょっとだけ退屈だったりする。



