少しずつ慣れてきたお家。
少しずつ笑顔を見せられるようになった、生活。
毎日のように厳つい顔をした男たちが出入りするこの場所は、とある組織の本拠地でもあった。
「とりあえずもうお子ちゃまはねんねの時間だって言ってんでしょ」
「っ…!」
「よっこらせ…っと」
ふわっと、大切そうに抱き上げてくれる。
14歳のわたしの身体というものは、20歳の彼からしてみればこんなことを意図も容易くできてしまうのだと。
普通の14歳よりも細身で小柄だと言われるわたしだが、ここまで軽々持ち上げられると自分の年齢がたまに分からなくなる。
「ニコ。にーこ、にこちゃーん」
呼ばれている気がする。
何度も何度も、わたしの名前を。
うれしくなってぎゅっと、首に腕を巻きつけた。
今日もわたしが知らない闇と血の匂いをまとう、だいすきでやさしいひと。



