でもメッセージが返ってくることは2度とないんでしょう…?
なんとなく分かるよ。
みんなの考えてることは、わかる。
私に構ってる暇なんかないから、いろんなことを考慮して関わりを一切と断ち切ったほうがいいから、この屋敷を追い出すんだ。
玄関の前、矢野さんが運転する車には、なかなか乗ることができないでいた。
「……じろ、」
「っ…、おまえなら大丈夫だニコ!なんてったって、雲雀会で育ったんだからよ!」
もうこんなふうに呼ぶ日は来なくなる。
別れがここまで寂しいとは思わなかった。
約4年間過ごした場所は、紛れもなく私のおうちだったのだ。
「…ジロー、そろそろ時間だ」
「わかってるっス矢野さん。まだなにか伝えてねーことあったんじゃないかって……不安なだけっスよ、」
「…そうか」
ジローは私の手を握ったまま、ずっと離そうとしない。
離してしまったらもう終わりだと彼も分かっているんだ。
一時的に離れるんじゃない。
この屋敷から、さよならをするんだ。
それはカシラである、羽倉 千里が命令したこと。



