でも、これでいいとも思う。
元々いずれはカタギに戻すつもりだった。
雲雀会の人間で天鬼組と関わってしまった俺のそばにいたら、危険すぎる。
海人の家に世話になって、そこでごく普通の女の子として生きられるならそれでいいと思うんだよ。
ただ俺はね、おまえの父親の秘密をどうしても暴きたい。
なにかが天鬼には隠されている。
なにかを天道 陽太は隠している。
「そんな過去の、オレたちも知らない少女─音都─を大切にしてるくらいなら……こっちの、カシラと出会った少女─ニコ─を大切にしてあげてくださいっス」
そう言って、俺が今まで持っていたひまわり畑で笑う少女の写真を強引にも奪い取ったジローは。
屋敷の縁側。
眠る戦闘狂の腕のなか、頬を寄せて幸せそうに微笑む14歳の少女が写った1枚を、俺の手にしっかりと握らせて去っていった。
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