…………は?
いや、ないだろ、それだけはない。
もしあの男─兄貴─が同じことを思って、あえてニコを屋敷から出したとすれば。
それは結果的にニコを守ってくれていることでもあって、イコール俺の頼みを聞いてくれたことになる。
あの極悪非道な、血も涙もない男が、だ。
「ニコはずっと待ってますよ…っ!!憂巳さんの帰りをずっと待って泣いてるっス…!!」
「……………」
「あんただけは居なくなったらダメなんスよ…!!なに考えてるっスか、戦闘狂が兄貴を恐れて逃げるなんてマジ笑えるっスよ!!!」
「……………」
「っ、憂ニコ限界オタクのオレたちはこれから何を生き甲斐に生きていけばいいんスか……っ!!聞いてんのかこのっ、このわからず屋バカ野郎ッ!!!」
────バサッ。
顔に投げつけられて地面に落ちてから、それが何枚もの写真だということを理解する。
何枚も何枚も、写っているものは俺とニコだった。



