「だから俺はもうカシラじゃないって言ってるだろ」
「っ……」
「離せ」とは言わずとも、それだけでスッと離れる手。
ここまで追ってきたところで、逆にあの場所に俺の居場所あんの?
あの男にだけは逆らえないのがお前らだ。
父親であるハゲだってそう。
あいつが何かを言えば、決まってあのハゲは連動するように黙る。
「ニコ…、屋敷を出ていくことになったっス」
「……………」
「海人の家に預けられることになって…」
「…まあ、そのほうがいいじゃん」
「え……?」
聞き返されてから、俺はようやくジローに目を合わせた。
「俺が天鬼に寝返ったってウワサが広まってるなら尚更、雲雀会も安心とは言えなくなっただろうし。
それにカシラがあの男じゃあね、完全にニコを守ってくれるとも───………」
そこまで言って、俺は思わず言葉を止めて眉間にシワを寄せる。



