………でも、あいつが来てからは。
ニコが来てからは、似たようなものがあったんだよね。
「あららー。ホームシックになっちゃった?じゃあ帰るかい?帰るならいいんだよさっさと帰ってくれて」
「……帰らないよ。知りたいこと知るまでは、どちらにせよ帰れない」
「…なら、俺の奥さんの手料理が冷めないうちに食べなさいって」
「……いただきます」
パンケーキにオムレツ、フルーツ。
洋風な朝食かと思えば、おにぎりや卵焼きと日本食も並んでいる。
どの気分でも文句ないようにってよりかは、これがフードファイターな母娘の常識なんだと最近は思ってきた。
「ママおかわり!大盛いっぱいだよ!」
「……この5歳児、胃袋どうなってんの?」
「おっとー、なんか言ったかよクソガキ」
「…言ってないでーす」
平和すぎる。
日本でトップを誇る極道組織の朝だとは思えないくらいの平凡が、ここにはあった。
いいや、裏にあるこの光を守るために、表では悪になっているのか。
「どう?これがおまえが壊そうとした光─幸せ─だよ」
「……………」
ならどうしてあんたは月島 有志を殺したんだ。
なんの理由があって消したんだよ。
やっぱり分からないから、今日の朝食のほとんどもハルヒに譲った。



