俺はいま、一応は天鬼組の一員になったはず……なんだけど。
天道 陽太の舎弟であり1付き人として、なぜかこの天道家にお世話になっていた。
まだちゃんと天鬼組の屋敷に行くこともしてないし、それこそカシラである男にも会ってはいない。
そして初めて天道 陽太がこの家に俺を連れてきたときの第一声を、俺はよく覚えている。
『ごめん桜子。なんか子供、もうひとり増えちゃったわ』
………だから俺、ハタチすぎてんだけど。
あんただってまだ30前半だろとツッコミたくなった。
けど、この人にはこの人の考えがあるんだろうなと思ったし、俺は今は下っぱ舎弟でもあるから言うことを聞くしかなかったわけで。
「ゆーみおにいちゃん、たべよ?」
「なにボサッとしてんのさ。座りなよ憂巳」
「憂巳くん?もしかして嫌いなものあったかな…?」
「はあ?居候の分際で好き嫌いとか図々しすぎー」
家族でこんなふうに食事を囲んだことは、幼い頃からなかった。
兄貴も父親も朝からいなかったし、世話役だって忙しそうにしていて喋ったかと思えば「雲雀会として」とか言っては、俺の本当を消してくる。



