「なんかいっきに人数減った感覚するよね…」
「まあ、とくにあの3人っていつも親の会社とか自慢してきたしね~」
「てか3人同時に退学とかありえる?ここ私立だよ?偏差値ひくい公立じゃないんだからさ」
「なんかね、潰れたらしいよ。親の会社」
「えっ、3人とも…?なにそれ聞くかぎり闇だらけなんだけど…!」
高校1年生の3学期から、クラス内で3人の女子生徒が退学した。
もちろん詳細は生徒たちに話されることなく、ウワサが真実を混ぜては広がってゆく。
ただ、時間が解決するのは本当で。
気づけば高校2年生。
「おーい、そこボール飛んでくから危ないぞーー!」
「そこの女子生徒ーー!聞こえてないのかぁーーー??」
日直の仕事を終えて校舎を出ようとした放課後。
グラウンド脇を歩いていた私のもとに、どうやら背後からすばやい足音が近づいていたらしい。
その正体に気づいて「海人」と呼ぶ前には、ぐいっと引っ張られた左腕。



