「やめときな復讐なんか。そんなことしたって得るものないよ。どんなことだって……裏には必ず思ってもみないような理由があんのよ」
「なら選ばせてあげるよ」
「…選ばせるって?」
「娘か嫁、失うならどっちがいい?」
「……………」
「なんだったら両方ってのもアリかな。ああ、ちゃんと名前で言わないと分かんないか。ハルヒかサクラ───」
悲鳴さえ出ないとは、このことだ。
たったの今日にもパーティー会場で戦闘狂の真の姿を目の当たりにして、腰を抜かしていたクラスメイトたちのように。
名前が出た瞬間、おぞましいほどに重くなった空気と、向けられていた銃口。
「…殺すぞガキ」
「あんたも同じことしたんだよ、こいつに」
突きつけられているのに、ゆうみはびくともしない。
ただ私だけはと守ろうとしてくれているのか、ドンッと押し返された。



