「どーする?どっかでタクシーでも拾───、っ!!!」
「っ、……ゆうみ…?」
ランドマークホテルを出て、高層ビル街を少し入った先に停まっている1台のベンツ。
遠くからでも高級車だとは分かったが、私とは正反対の理由から手を離したらしいのだ、ゆうみは。
「……見つけた」
ベンツの外、スマートフォンを操作していたひとつの影へとゆうみは全速力で向かってゆく。
「探したよ、天道」
「………おっとー。こんな場所でナンパ?」
「まさかこんな簡単に会えるなんて思ってなかった。…天鬼の右腕とも言われてるあんたにね」
ようやく追いついて、暗闇。
ちょうど光がさしたタイミングで顔を合わせて、「あっ…」と音のない反応をしてしまったのは私だった。



