「俺の目が届く場所から離れるから、そーなったんだよ」
「ん…っ」
「…ニコちゃん。反省した?」
「ふ、っ」
「勝手にいなくなったこと、反省しろよ」
逃げても逃げても追いかけてくる。
私が離れようとしても、余裕そうに捕まえてくる。
「…ショーガイシャ障害者って言うけどさ。おまえこんなあったかいし、生きてんじゃん。俺やあいつらよりずっとずっと……マトモな人間だよ」
抱きくるめるようについばんで、合わさる。
吐息も、カラダも、必死に応える私を射抜いてくる目も、ぜんぶが燃え上がるように熱い。
「んぅ…、ゃっ」
「……へえ、おまえってそんな声出すんだ。
…かわいーや」
「ひ…っ、」
「…ふ。ここはまだ先か」
太ももが撫でられてつい唇を離してしまったとしても、彼は怒らなかった。
やさしく私を抱き起こして「帰るよ」と、もう1度。
今は何時なんだろう。
パーティーはどうなっているだろう。
初めて手をつなぐような帰り道では、なんにも気にならない。



