“そうだ、って言ったら?”
またそうやって試してくる。
この人のほうがきっと、常に私からの何かを求めているのだ。
「………うれしい…」
「……………」
怒ってくれた。
私があんな目に遇って、唯一同情的な目をしなかったひと。
むしろ笑っていたね。
すごく優しい顔で大爆笑してくれたね、ゆうみ。
私にはあれくらいがちょうどいいんだと思う。
「…嬉しいとか意味わかんないんだけど。おまえ都合のいい女コース走るつもりなの?」
十分なんだ。
生きること、生まれてきたこと、ぜんぶぜんぶに罪悪感を感じていた私にとって。
あのキスはこれからもずっとずっと宝物として私の記憶に残る。
「ならもっと嬉しいこと、しよーか」
「ゎ…!」
大きすぎるベッドが、ふたりぶんの体重を受け止めて凹んだ。
「世の中的には未成年に手ぇ出すってのはアウトなんだって。でも悪いねニコちゃん、ヤクザなんだわ俺」



