「これで分かっただろ?毛がなければ能もないんだよ、あのハゲは。普通ビンなんかで殴る?認めたくなんかないけど一応は息子だってのにさ。ほんのちょっと当たりどころが外れてたら俺、確実に死んでたね」
「…今回の組長の判断は私も正しいと思います。それくらいしなければあなたの理性は戻りませんでした」
「……わりとあったんだよ理性。でもああでもしないと、あの場所でろくに女は殴れなかった」
「では……わざと、だったのですか?」
「…まあそれはご想像にお任せってとこ」
今頃ホールでは組長さんが息子の尻拭いをどうにかしているはずで。
何人かのお偉いさん方はもしかすると、雲雀会との関係を切ってしまったかもしれない。
「矢野、あの女たちの会社は明日までに潰しといて」
「……わかりました」
「ほんっとナメられたもんだよ。あんなガキどもに平気で入り込まれるなんてさ」
「それに関しては私の落ち度でもあります。…申し訳ございません」
包帯を巻いた姿は、なぜか似合ってしまう。
病院送りにならなくてよかったと、心から安堵した。
そんななか矢野さんは納得していない顔をしつつも、ずっとゆうみに頭を下げている。



