本物を見た。
巷で噂されている“戦闘狂”の、あれが真の姿なのだとしたら。
戦闘狂以外の表現方法は確かにないし、今まで私が見てきたものなんか偽物だ。
「ほんっま最高やで憂巳くん!!ワシは君が欲しぃてしゃーないわ!!」
「笑ってる場合ですか松林の親父…!はやく逃げてくださいッ!!」
きっとタガのようなものが外れたんだ。
ずっと抑え込みながらも誰かに作り出された、自分のなかで葛藤していた劣等感と覚悟のようなものが。
何人がかりであの獣を止めるんだと、興味すら湧いてしまった私はおかしいのだろうか。
おもいっきり吹き飛ばされては、何度も立ち向かってゆく舎弟たち。
「チッ。歯ァくいしばれよ、憂巳」
「くっ、組長…!!」
とうとう最終手段だと、テーブルに置いてあったビール瓶を手にした父親は。
そのビール瓶が粉々に砕けるくらいの力で息子の頭へと振り下ろす。
────ガシャァァアンッッ!!!
………さすが史上最恐の親子だ。
「……いったいな…、なんだよ」
「なんだよじゃねェ。この状況見ろ」
「…あー……、俺がやったの?」
ポタリポタリと滴る、赤色。
初めて彼の身体から出ている鮮明な赤を見た。



